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第3時間目 「僕」のちょうに対する気持ちを知る
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第3時間目 「僕」のちょうに対する気持ちを知る
この時間のねらいは「気持ちを表す叙述」を的確につかむことです。
この時の「僕」の気持ちは「あの熱情」に集約されます。
その内容は
- 子供だけが感じ取ることのできる、あのなんともいえない、むさぼるような、うっとしした感じ
- 捕らえる喜び
- 緊張と歓喜
- 微妙な喜びと、激しい欲望との入り混じった気持ち
そしてその行動は「まるで宝を探す人のよう」と比喩により説明しています。
- ひどく心を打ち込んでしまい~やめさせなければなるまい、と考えたほどだった。
- あの時味わった気持ち
キアゲハや「焼け付くような昼下がり」「涼しい朝」「森の外れの夕方」が具体例です。
非常に詩的な表現が多いですが、「気持ち」を考える上で、確実に「気持ち」を述べた部分と、その気持ちを説明した部分をきちんと読み分けることは、文学的文章の記述問題にもつながるものがあると思います。
生徒はどんどん出してくると思います。これらを構造的に板書にまとめていきます。
最後に
- では、次の時間は、こんなにして集めた自分のコレクションを壊してしまう原因になったエーミール君について考えてみよう
第4時間目 エーミールの人物像を考える
「僕」視点の物語ですから、エーミールについてはあまり好意的に描かれていません。
これを「僕」と、もう一人の「僕」であるエーミールを対比的にとらえることにより、エーミールの役割について考えさせることがねらいです。
そこでまず「エーミールはどんな人物だと思う?」と素直な感想を述べさせます。
まあ、たいてい「嫌な奴」というような答えが返ってくると思います。
そこで「ではエーミールはどんな奴か、具体的にまとめてみよう。」と言って、教科書の叙述をあげさせます。
エーミールは「先生の息子」で、「非の打ちどころがない」「模範少年」です。
「僕」はこの性格を「悪徳」で「子供としては二倍も気味悪い性質」と言い、「妬み、嘆賞しながら彼を憎んで」います。
「僕」が「立派な道具」をもっていないのと同様、エーミールのコレクションも「小さくて貧弱」ですが、「こぎれいなのと、手入れが正確な点」で「僕」も評価しています。
更に破損した蝶の羽を修復する技術を持っています。
蝶の標本の目利きもできるようです。
「僕」のコムラサキに20ペニヒ(約40円)という値をつけ、「展翅のしかたが悪い……」等の解説をしています。
「僕」は「足が二本欠けている」ことすら「たいしたものとは考え」ず、彼の指摘を「難癖」と言い「こっぴどい批評家」と言っています。
彼は値踏みして「しかし、それから、彼は難癖をつけ始め」たとしていますが、これはたった40円の価値しかないという理由の説明だったとも考えられます。
ちなみに現在、ネットオークションではコムラサキの標本は400~500円で取引されています。ですから「僕」の持ち込んだ標本は、足が二本欠けている等の欠陥がありますから、現在なら40円でも取引されるか怪しいところです。
これらを生徒から自由に出させながら、「実像」と「僕の評価」とに分けて構造的に板書していきます。そして後半部が本時の山場です。
板書を眺め、「エーミールは実際どんな奴だったと思う?」と問います。
当然授業の最初に考えたものとは違ってくると思います。
「みんなの知っている誰に似ている?」とより具体的に考えさせると『ドラえもん』の出来杉君、という答えが返ってきます。
(出てこなければこちらから提示すると「あ~」という反応が返ってきます。)
- 「僕」はコムラサキを標本にしたとき得意がってエーミールに見せびらかそうとしたけど、エーミールは単純に「すごい」とは言わなかった。「僕」の「自分の獲物に対する喜び」って、何だろう。「僕」の求めたものとエーミールの求めたものは、どこが違うんだろう。
すると生徒は
- 「僕」は蝶よりも「手に入れる」行為に価値を求めているのに対し、エーミールは蝶そのものの価値を求めている。
「僕」がコムラサキをエーミールに見せたのは、家が近所だったからばかりでなく、「僕」とは経済的にほぼ同等で、「僕」は気持ちを共有できる人物と考えたからなのですが、二人が蝶に対して求めていたものはまったく違っていたことに気づかせます。
- 「僕」が蝶を手に入れたい、というのは、珍しい蝶が欲しいんじゃなくて、「手に入れたい」という気持ちが大事なんだね。次の時間は、いよいよエーミールの蝶をゲットしてしまう場面だ。これが自分のコレクションを壊してしまうことにつながってくるんだね。
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