「握手」の予習・レポート作成に最適な解説及び予想問題をダウンロード販売します。


最後の場面の、指でバッテンをつくる「わたし」の気持ちはもちろん、
ルロイ修道士が乗ってきた列車・帰って行った列車まで、作品の読み方を詳しく解説しています。


また予想問題は、「思考・判断・表現力」をみる問題を取り入れてあります。


興味のある方はこちらをご覧下さい。


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「わたし」が、ルロイ修道士に会ったのは、
  • 高度経済成長期の4月中~下旬の月曜日の12時前後
  • 上野公園内にある上の精養軒1Fのカフェランドーレ
です。

なぜ上野精養軒のカフェランドーレか

「上野公園に古くからある西洋料理店」とありますから、該当する店はここしかありません。
夏目漱石や森鴎外の作品にも登場するお店です。
 上野精養軒はこちら
 カフェランドーレはこちら

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ですから、地方在住のルロイ修道士でも訪ねてくるのがかんたんにできます。
仙台からやってくるルロイ修道士にとって、
駅から近く、わかりやすいので、ここが面会場所に選ばれたのでしょう。

二階はフレンチレストラン、一階は軽食・喫茶となっています。
二人が注文したメニューから考えて、
二人が入ったのは、
コース料理を主に提供する二階ではなく、
本店向かって左側の入り口から入る一階のカフェでしょう。

ちなみに現在オムレツはメニューにありません。
代わりに

  • オムライス ハヤシソース(¥1,780税込)
が食べられます。
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上野精養軒のオムライス
ちなみに、ここはハヤシライス発祥と言われる3つの店の内の1つです。

なぜ4月中~下旬の月曜日か

上野公園の櫻の開花時期は、3月下旬から4月上旬です。
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上野公園のお花見
4月下旬から始まるゴールデンウィークの頃は、葉桜になってしまいます。

ですから、二人が会ったのは、
花見のシーズン後からゴールデンウィーク前の4月2~3週でしょう。
  • 動物園はお休みで
とあります。
上野動物園は月曜が休園日です。

なぜ高度経済成長期か

ルロイ修道士が来日したのは「昭和十五年の春」とあります。
その翌年第二次世界大戦が始まり、
昭和20年(1945)に終戦を迎えます。

「わたし」は作中で、高校2年生の時「駅前の闇市」で鶏を売ったことを白状しています。

戦後闇市があったのは、昭和20年から26年です。(詳しくはこちら
このことから、昭和20年代前半「わたし」は16歳くらいでした。
闇市
闇市
では、二人が上野精養軒で会ったのは、いつ頃でしょう。

「わたし」が闇市で鶏を売ってから5年後、
昭和30年当時、上野精養軒は20歳前後の「わたし」が一人で入るには敷居が高い店でした。
ルロイ修道士だって「こんな贅沢なところ……」と思ったに違いありません。
ですからこの時の私は20歳前後の若者ではありません。

闇市から15年後の昭和35年頃、「わたし」は30歳以上になります。
この頃になれば、高度経済成長が始まり、世の中の景気は上向きになります。
更に10年経って
「わたし」が40歳になると、昭和45年(1970)頃。
所得は倍増しています。

この昭和35年~45年あたりをひとくくりにして、高度経済成長期と判断しました。

「わたし」が50歳だったら昭和55年頃ですが、
もしそうならルロイ修道士の年齢は、おそらく末期ガンの患者でなくても一人旅が難しい後期高齢者となってしまいます。

なぜ12時前後か

ルロイ修道士は、何時頃上野に到着したのでしょう。

ルロイ修道士は仙台からやってきました。
当時、朝
一番に仙台駅から上野に向けて出発したとしても、
到着予想時刻は昼前後です。
また、
上野精養軒カフェランドーレは、喫茶は10時から、食事は11時からです。

二人はカフェランドーレに到着してすぐ食事をしています。
このことから11時過ぎに間違いありません。

ちなみに、昭和55年の時刻表によると、
  • 仙台始発 6:58 上野着 11:13 の特急ひばり4号
  • 仙台始発 7:58 上野着 12:19 の特急ひばり6号
の2本の列車が運行しています。
(東北新幹線の開通は昭和57年ですから、当時はありません。)
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特急ひばり
おそらくルロイ修道士は、
仙台始発の特急ひばり4号に乗って上野に行き、
待ち合わせ時間を11:30 に指定して、精養軒に「時間どおり」にやってきたのではないでしょうか。
  • 店の中は気の毒になるぐらいすいている。
とありますが、これは
  • 昼時であるにもかかわらず
ということだと思います。

ちなみに、上野発
13:33-仙台着17:48のL特急はつかり9号で帰ったとすると、
この物語は1時間30分程度だったと思われます。