十種神宝 中学国語の基礎・基本

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カテゴリ: 教師の心得

モチベーションの高さ=目標の魅力×達成可能性

モチベーションの高さ=目標の魅力×達成可能性であるというブルームの「期待説」に基づき、小笹芳央氏は『モチベーション・リーダーシップ 組織を率いるための30の原則』(2006 PHP新書)の中で「目標の魅力」と「達成可能性」それぞれについて、四つの要素を考えています。これを学級経営に置き換えて説明します。

何度も言いますが、最初からリーダーである生徒はいません。経験を通してリーダーになるのです。
いつリーダーになってもよいように、日常から全員にリーダーの役割をふってその仕事に慣れさせていく必要があります。

本当は小学校からこのような指導をしておくべきだと思います。

次の点に留意してモチベーションを高め、いつリーダーになっても臆さない生徒たちを育成していきましょう。

「目標の魅力」値を高める

1 ラダー効果
与えられた仕事と学級目標などの上位の目標との関係を示すことで、仕事に意味を持たせます。
今の仕事は雑務ではなく、これをやれば学級目標などに近づくのだということをわからせるのです。

2 オプション効果
やり方など具体的なことは生徒に選ばせます。(考えさせるのではありません。)
何かを「選ぶ」という行為はモチベーションを向上させます。
自分で選ぶことによって満足度、納得感を高め、自己責任の意識も生まれます。逆に自分で「選べなかった」ものに対しては満足感や納得感を得ることができず、責任意識の芽生えません。

3 サンクス効果
自分は全体に貢献しているという実感をもたせます。
具体的に「誰に・どのように」貢献しているのか「誰の・どんな活動と・どのようにつながっているか」などを説明し、リアリティをもたせます。

4 スポットライト効果
全員の前で具体的に褒めることによって、注目させ主役にします。この時なるべくその生徒の名前を言うことで大きな効果が期待できます。

「達成可能性」値を高める

1 マイルストーン効果
マイルストーンとは一里塚のことです。途中の目標を示すことで「何をいつまでにやればよいか」がはっきりとわかり、この積み重ねをしていけば最終的な目標や成果に近づくという安心感を与えます。技術・家庭科や美術科などの作業的な学習でよくやる手法ですね。

2 フィードバック効果
取り組みや結果を評価します。「自己の客観的な評価を知ること」は向上へのモチベーションを刺激しますし「先生はちゃんと見ていてくれる」という信頼も生まれます。

3 ロールプレイング効果
「自分ではない誰かの役割を疑似体験させることで、他所あの視点を獲得させる」というロールプレイングの手法です。
「自分がリーダーだったら」「自分がリーダーから何か言われる側だったら」と、違う立場の者になりきらせると、新しい視点が生まれ、協調性も身につきます。

4 ナレッジ効果
   みんなでノウハウを共有します。すると、その生徒にとって初めて取り組むことでも、前例があるので安心です。
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これらをうまく組み合わせ、リーダーになった生徒に「やってよかった」という気持ちを持たせ、誰がいつリーダーになってもよいようにしておきましょう。

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『ガラスの仮面』(美内すずえ)というマンガがあります。1970年代に始まり、途中休載期間を除いても40年以上続いてまだ完結していない『こち亀』以上のバケモノです。

(そういえば魔夜峰央の『パタリロ』も長いですね。少女マンガは月刊なので息が長いのでしょうか。)

主人公は平凡な一人の少女、北島マヤです。彼女は演劇への熱い情熱をたぎらせ、才能を開花させていきます。そして演劇界のサラブレッド、姫川亜弓と競いながら幻の名作「紅天女」を目指すという物語です。
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©美内すずえ/講談社

北島マヤは「恐ろしい子」と言われるほど優れた演技の才能を持っています。
しかし、クラスのリーダーになる生徒というのは、私たち教師と同じで生まれ持っての才能は関係ありません。
「役割を演ずる」という点から考えるとリーダーシップを発揮できる生徒というのは「自分の役割であると認識している」生徒ならば誰でもできることだと思います。私たちと同じく「立場」が人を作るのです。

ハイリスク・ローリターンであるリーダーの役割を演じさせるためには、リーダーという「立場」を理解させ、モチベーションをあげてやることが大切だと思います。(私たち大人でも同じですよね。)

「ああ、面倒な仕事だったけど、やって良かったな」というやり甲斐を感じれば、次も「やってもいいかな」と思うわけです。逆に言えば、私たち教師は、生徒にM機能をメインにしたクラスのリーダーをお願いする以上「やった甲斐」を感じてもらえるようにする責任があると思います。

モチベーションとは「何か目標とするものがあって、それに向けて、行動を立ち上げ、方向付け、出される力」です。そもそも目標がないものに対してモチベーションは起こりません。

モチベーションにおける基本的な理論として、以前「マズローの欲求階層説」を取り上げました。これは、アメとムチの「アメ(欲求)とは何か」を考えたものです。
クラスのリーダーの場合、友達から誹謗中傷されない・浮かないという「安全の欲求」を満たした上で、「社会的な欲求(所属や友人から賞賛される)」や「自尊の欲求(自らが他よりも優れていると感ずる)」を与えてやればよいのです。

また、V.H.ブルームは「期待説」を唱えました。
努力すれば相応の成果が得られそうだという期待と、その成果がその人にとって価値があるという要素の二つを掛け合わせたものが、モチベーションの強さを表すというものです。

例えば「定期テストのために一週間だけ頑張る」といったことです。少しの努力をすれば手に入り、しかもそれが自分にとって必要なものであるほど、それを得るために人は動機づけられ行動します。
しかし「自分は運動で高校進学するつもりなので教科の成績は関係ない」と目標の価値を低く考えている場合にはモチベーションが生まれません。

期待と価値の二つの「積」と考えたところがポイントです。

他にも、自分が周りと比較して公平に扱われているかどうかがモチベーションに関わるとする「公平説」や、お金や物などの褒美で動機付けしたり、罰する叱るなどのマイナスのモチベーションを動機づけたりする「学習説」があります。

次回は、「期待説」を中心に、どのようにしたら生徒のモチベーションを上げていくかを考えてみましょう。
これは、リーダーシップをとる生徒に対してというよりも、学級全体のモチベーションをあげる方法でもありますから、参考にしてください。


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2019年11月25日の朝日新聞(ネット版)に「SNSで事件被害、少年少女1,811人 どう防ぐか?」という記事がありました。少し長いですが引用します。

大阪市住吉区の小学6年の女児(12)が行方不明になり、栃木県小山市内で保護された事件で、未成年者誘拐の疑いで逮捕された伊藤仁士容疑者(35)はSNSを通じて女児に接触し、誘い出したとされる。子どもがSNSのやりとりだけで顔も知らない大人と会い、事件に巻き込まれるケースは後を絶たない。どう防げばよいのか。
警察庁によると、昨年にSNSを通じて事件に巻き込まれた18歳未満の子どもは1,811人で、統計を取り始めた2008年以降で2番目に多かった。近年は小学生の被害が増えており、昨年は過去最多の55人。中学生は624人、高校生は991人だった。スマホなど携帯電話でSNSを使った子どもが1,632人と全体の9割を占めた。
被害者が使ったSNSは「ツイッター」が最多の714人。学生限定のチャット型交流サイト「ひま部」214人、「LINE」80人、チャットアプリ「マリンチャット」78人、動画配信サービス「ツイキャス」46人だった。有害情報を閲覧できないようにするフィルタリングの利用の有無を調べられた1,559人のうち1,372人(88%)が利用していなかったという。
今年9月には、千葉県内の小学校高学年の女児を誘拐したとして、県警は茨城県の男(29)を未成年者誘拐の疑いで逮捕した。男はSNSで「親の所にいるのが嫌なら、俺の所に来なよ」と女児にメッセージを送って家出させ、車で自宅まで連れ出したという。
埼玉県では先月、30代の男が、ツイッター上に家出を望む書き込みをしていた女子中学生に「相談にのるよ」と返信して連れ出し、約40日間にわたって自身の借家に住まわせたとして未成年者誘拐容疑で逮捕された。
子どものネット利用に詳しい藤川大祐・千葉大教授(教育方法学)は「SNSで知り合った大人と実際に会うのは危ないと思っていても、スマホで遊ぶゲームなど共通の趣味があれば『信頼関係』はできてしまう」と話す。匿名アカウントを取得できるSNSなら年齢も問われず、子どもが簡単に大人とやりとりできる。「不安や不満を家族には打ち明けられないとき、頼れそうな大人を探せる環境がSNS上にはある。スマホを使う場所や時間をルール化するなどまずは保護者が関心を持つことが大切だ」と指摘する。
兵庫県立大の竹内和雄准教授(生徒指導論)は「悪い大人が子どもにつけ込む構図がある以上、保護者に頼るのは限界がある。不特定多数の人と交流するサイトの年齢認証を厳しくするなど国や業界による対応も求められる」と指摘する。
全国の小中学校で無料のネット安全教室を開く、ゲーム大手グリーの小木曽健さんは「ネット上で良い人と悪い人を見分けるのは大人でも至難の業。人生経験のない子どもには不可能だ」と話す。ネット上に子どもと接点を持ちたがる悪意を持った大人がいて、大人がSNSを利用すれば簡単に子どもと知り合えることを、大人が子どもに教えるべきだとしている。
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この記事は、最近のSNSにからむ誘拐事件ですが、誘拐以外にも、
2008年10月のさいたま市で中3の女子生徒が自殺した事件、2008年5月の北九州市で高1の女子生徒が自殺した事件など「ネットのいじめ」に関わるもの、
実際にはバイトではありませんが「バイトテロ」に似たような悪ふざけ画像等をアップするもの、
そして最も多いのが特に被害の多いものは、「性犯罪(売春、レイプ、児童ポルノ)、恐喝(ゆすり)、詐欺」などです。

スマホを買い与えるのは保護者であり、指導をする責任もまた基本的には保護者にあると思います。
まずこのことをしっかり家庭に認識していただく必要があると思います。

と同時に「学校でもきちんと指導した」と言えるよう 学級・学年PTAや懇談会などの機会を通じて、お話ししご理解いただけるようにしていけるといいですね。

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多くの生徒がやっているLINE。
LINEは「コミュニケーションツール」ですがTwitterに比べて繋がる範囲は狭いようです。ですから友達との交流がメインです。
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「ブログ」の簡易版とも言えるTwitterに比べ、LINEは教室内のメモ回しのようなもので、繁華街で大声で喋るようなTwitterに比べ安心かというと、実は逆なのではないかと思います。

そう思う第一の理由は、タイムラインや「友だち追加」機能で様々な相手と簡単に繋がることができるという点です。

「友達のそのまた友達は悪い人ではない」という保証はありません。見ず知らずの相手(業者など)からコンタクトされる危険があるのです。

これを防止するのがフィルタリング(有害サイトアクセス制限)やペアレンタルコントロール(情報通信機器の利用を、親が監視して制限する仕組み)ですが、LINEにはこの機能がありません。あっても不十分です。
ですから有害なサイトへのアクセスが可能で、過激な写真や画像が普通に見れてしまいます。

第二の理由は、顔が見えない同士のグループトークを行いますので、いじめの被害者や加害者、傍観者になるリスクがとても大きいのです。
短文できちんと文意を伝える表現力や文意を汲み取る読解力が十分ではない生徒同士では、どんな誤解が発生するかわかったものではありません。

第一の理由の対策としては、LINEアカウントの制限設定によってある程度可能だと言われています。

対策➀:LINEのプロフィールに本名や個人情報を記載しない
LINEのプロフィールは誰でも見れるものなので、絶対に個人情報を載せないようにします。
「LINEの名前」「ひとこと」等に個人が特定されるような内容を書き込んでしまう生徒は結構多いようです。また「LINE ID」に誕生日などの情報を入力する生徒がいます。クレジットカードの暗証番号と同じ扱いをするべきです。ちなみに一度設定したLINE IDを変更する事は出来ません。また「アイコン」に顔写真や場所が特定される写真を使うこと生徒もいるようです。

対策➁:LINEのID検索を無効に設定する
相手のLINE IDが分かると誰でもメッセージを送れてしまいます。そこでLINEでは勝手に相手から検索されないように「IDによる友だち追加を許可」をオフにしておく必要があります。

対策➂:「友だち自動追加」をオフに設定する
LINEにはスマホ内のアドレス帳に載っている電話番号と紐づいているLINEアカウントを「友だち」として追加する「友だち自動追加」機能があります。つまりスマホのアドレス帳が第三者に流出してしまうのです。これを防ぐため「友だち自動追加」をオフに設定する必要があります。わたしたちがもし生徒の電話番号をアドレス帳に載せていて「友だち自動追加」をオフにしていなかったらアウトですよ。

対策➃:公式のタイムラインへの「いいね」やコメントは極力控える
LINEには様々な公式アカウントが存在します。これらを友だち追加する事で「タイムライン」で公式側の配信を見ることが出来ますが、その際に「いいね」やコメントをすると、個人のLINEアカウントのアイコンや名前が表示されます。
ですから、出来れば公式アカウントのタイムラインへの「いいね」やコメントは控えた方が無難です。
  
これらのLINEの設定は、そのままだと全てオンになっています。これをオフにするだけでも、怪しい業者などからのコンタクトを減らすことができます。

しかし「LINEから有害サイトへのアクセスにフィルタリングが効かない」や「グループトークでのいじめ」などは、機能面からも対策をすることができません。

これらは別に学級全体に指導する内容とは思えません。保護者が指導すべきことでしょう。
しかしアカウント制限すら知らない保護者も多いようで、実は野放しの状態なのではないでしょうか。


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自転車はとても便利な道具です。しかしその一方で交通事故の被害者となることもあります。そしてそれ以上に、道路交通法等を守らないと加害者となることもあります。

SNSも同じです。

生徒が犯罪とは知らずにネット上で行ったり、投稿したりというケースがあります。これらは「知らなかった」では済まされません。
以下の内容は、過去に犯罪として扱われたケースからの抽出ですから、実際は裁判になってから犯罪として確定します。
しかしあらかじめ知っておいて、危ない橋は渡らないに越したことはありません。
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1. 名誉棄損・侮辱罪

悪評の流布
  要するに悪口をまき散らすことなのですが、度が過ぎると犯罪です。
相手の評判を落とすために故意にあることないことネット上に流したりすることが発端となります。
プライバシー侵害にもなる個人情報を含めての悪評の流布は悪質とされます。
個人が特定された場合、名誉棄損罪、侮辱罪へと発展する確率も高くなります。
「ネットいじめ」もこのケースに該当します。

なりすまし
他人のふりをして、ネット上で活動することです。
なりすましている相手に害を及ぼす場合アウトになる可能性が高いと思います。
ネット上で「他人のふりをする(なりすます)」ことは犯罪となる可能性があります。
なりすます相手が企業や団体などの場合、「業務妨害」となることもあります。

2. 業務妨害

悪評の流布
悪評の対象が企業等の何らかの団体である場合、業務妨害に該当する可能性があります。
特定の製品やサービスなどを利用した(または実際にしていなくても)感想などといったかたちで、必要以上に過激な表現で酷評したり、不買や破棄を推奨してしまうケースなどはアウトです。

犯行予告
ネット上で「犯行予告」をしてもアウトです。
ニュースなどで目にすることが多いですが「テストがいやだから」という理由でやってしまうと『威力業務妨害罪』、単にいたずら目的の場合でも『軽犯罪法違反』となる場合があります。

3. 不正アクセス法違反

他人のアカウント(ID)やパスワードを聞き出したり盗んだりして不正にログインするのはアウトです。
よくあるケースとしては、オンラインゲームのアカウントに不正にアクセスし、ゲーム内のアイテムを奪うような行為があります。ゲーム内のアイテムがらみは必ずお金が絡んできます。

4. 違法アップロード/ダウンロード

自身が著作権を持たない音声および映像等のアップロードです。他人がダウンロードできる状態で、自身が著作権を持たない音声や動画をアップロードすると著作権の侵害として罪に問われる可能性があります。自身で購入した音楽や動画、マンガのスキャン画像などをアップロードしてもアウトです。また、2010年の著作権法改正により、違法アップロードされたものだと知りながらダウンロードしてもアウトです。生徒が安易に手を出しやすい犯罪です。
  
5. プライバシー侵害

生徒たちのネット利用では個人情報漏洩に該当する行為が多いようです。
ネット上に他人の個人的な情報、および個人を特定できる情報を流布してしまえばアウトです。
普段の会話の延長としてネットを利用しているという感覚で書きこんでいるとやってしまいます。
ネットというものは、人通りの多い繁華街で大声で叫ぶようなものなのです。

6. わいせつ物頒布罪

生徒の間では、笑いのネタとして安易にやってしまいそうです。
自画取りわいせつ画像・動画の拡散はもちろんですが、友達の家に集まって友達の画像・動画を拡散した場合はリベンジポルノになる可能性があります。
自分のならいいだろ、ということにはなりません。

7. 児童ポルノ禁止法違反

更にリベンジポルノ、わいせつ物頒布で被写体(写っている人物)が未成年の場合、「児童ポルノ禁止法違反」となる場合があります。
中学生の場合は例外なくアウトです。

8. 殺人幇助罪

殺人を企てる者に対して、殺人行為が楽になるように手助け(幇助)する行為です。
  • A もうアイツ殺してやりたいわー
  • B やっちゃえ、やっちゃえー
と言ってAが殺害を実行したらBは殺人幇助罪です。

このような話を切り出されたら、まともに相手をせず、すぐに警察等に連絡するように指導します。
それは「自分は殺人幇助をしていない」ということの証明にもなります。

9. 脅迫罪

「殺す」、「刺す」など、「~するぞ!」と、相手の脅威となる行動を示唆して脅すことで「脅迫罪」です。
実際に害を加えなくてもアウトで、場合によっては「自殺教唆罪」に問われる場合もあります。
結果として相手が自殺してしまった場合などは完全アウトです。

10.強要罪、恐喝罪

「強要罪」は、人に義務の無いことを行わせる行為です。
土下座させたり、詫び状や反省文を書かせたり、必要以上に謝罪を求める行為がこれに該当する可能性があります。

「恐喝罪」は、脅して物や金銭を得たり、それを第三者に得させる行為です。
「謝罪をかたちにしろ」と言って不当な慰謝料を請求したり、追加で物品を要求したりするとアウトです。物や金銭を実際に受け取っていなくても、「恐喝した(脅した)」という行為だけでも、恐喝未遂として扱われます。

勢いで書いてしまったとしても、それは言い訳にすらなりません。
どんなに頭にきても、強要や恐喝に踏み込まないよう、冷静に対処できない生徒はSNSをしてはいけないと思います。

11.自殺教唆罪、自殺幇助罪

自殺の方向に導いていったり、自殺しやすいように手助けする行為です。
「死ね!消えろ!」などと強く連呼したり、「死んだら楽になるよ」などと一見優しく伝えたとしても、相手が自殺した場合は自殺教唆罪に該当する可能性があります。
また「睡眠薬で死んだら楽でいいよ!」(あくまで例です)みたいなことを発言すると、自殺幇助罪に該当する可能性があります。冗談だと思っていた、では通じません。
  
ネット上といえども、リアルの世界となんら変わらない現実の世界です。
しっかりした知識を身に付け、自分自身が犯罪者とならないよう、危険に近づかないよう、指導しておきましょう。
また、ご家庭もこのような認識の薄い場合があります。

まさに「知らないことは罪」なのだと思います。

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OECD(経済協力開発機構)によるPISA(学習到達度調査)の結果が発表されました。
日本では「読解力」の低下が著しいという結果がでました。

PISAの結果が悪かったために、若い先生たちが当時学んでいた「ゆとり教育」の見直しが行われたのはご存じの通りです。
そして今、教育委員会をはじめ各学校で、全国学調の成績を上げるためにどうしたらいいか、を考えています。まるで「全国学調の成績を上げることが正義である」かのような勢いです。

これは一面では正しいですからね。そして「学力」という言葉そもものを使わないようにした文科省は慧眼だと思いますよ。

全国学調に対する教育委員会の対応と同じように、PISAの成績を上げることに敏感になり、そのために万策を尽くし方向転換をすることすら辞さないのが文科省です。

だって産業界=社会の要請なのですからね。

PISAの成績はなぜ伸びないのでしょう。

それは学習塾で取り扱わないからです。

塾の目的は、一人一人の生徒が高校・大学入試に対応できる力を身につけさせることです。
PISAも全国学調も、その成績は一人一人に還元されません。

文科省は「そうならないように……」と言っていますが、どうなんでしょう。
文科省は全国学調の成績を入試に加味しようとした某地方自治体を必死で止めましたけどね。

ですから学習塾は、PISAや全国学調に特化した内容は教えません。

ところが現在、大学入試制度が改革されようとしています。
今回は英語の民間試験導入や論述問題等の問題は解決されませんでしたが、いずれ大学入試はPISA問題に似てくると思います。

既に難関大学の問題はそうなっているところが多いですね。

そして大学入試を変え、それによって高校の授業を改革し、高校入試を変え、義務教育も変えていこうということは「大学入試改革で雪崩を起こす」でお話した通りです。
今回PISAの結果が出て、教育改革は更に加速するでしょう。

今回のPISAの問題は、読解力問題を見ればわかるように、パソコン画面に提示されるブログや書評、ニュース記事を次々と読み、設問に答えていく形式のテストです。そして最後の問題は、これらのテキストを読解した上で、根拠をあげて自分の考えを書く問題になっています。
2018 読解力
確かにパソコンの操作に慣れていなければ不利なのですが、問題の本質はそこではありません。

この問題の特徴は、次々と提出されるテキストの情報を高速に処理していく力(情報処理能力)とその結果を組み合わせ、与えられた課題に対して最適の解を時間内に導き出す力(情報生産能力)の二つの能力を測ろうとするところにあります。

PISAが求める「読解力」とは、「憎きもの」でお話しした「読解リテラシー」のことです。
そして高度な増俸処理能力と情報生産能力については「二つの学力観」で少し説明させていただきました。

もしPISAが求めるものを測定するような問題が大学入試で一般化された場合、学習塾ではこぞって高得点がとれる指導に切り替えていくでしょう。そしてこれは必ず高校入試に波及します。塾はそのノウハウを中学生にぶつけてくることは想像に難くありません。

今は学習塾が「自分には関係ない」と横を向いているからPISAや全国学調の成績が上がらないのです。

しかし入試となると塾は時目の色を変えて指導ノウハウを確立し実践していくでしょう。
そしてその指導は、徹底的に過去問を解かせ、解くポイントを指導していくものになるのだと思います。

過去問をたくさん解かせれば全国学調の成績が上がることは各都道府県レベルで実証済みでしょう。そしてその解法テクニックをうまく解説してやれば鬼に金棒です。……これは私が実際やっていました。
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その時学校は……

これは国語科の問題だけではありません。社会科も同じです。
そして国際化の時代、テキストはすべて日本語で書かれているはずがありません。英語で書かれたテキストに対してこそこの能力が求められている……だから英語教育に力を入れているのでしょう。

数学的リテラシー、科学的リテラシーの問題も同じです。
公開されている2015年の科学的リテラシー問題は、数値や図表・グラフ、あるいはデータの正当性等を問うもので、内容的に今回の読解リテラシーの問題と変わりがないのです。

今、受験戦争が最も厳しいとされる某隣国は低下傾向にあります。今までの入試問題に対応している知識重視の授業ではダメなのです。

そしてそう遠くない将来……おそらく3~5年後、わたしたちが旧態依然の、教科書の内容をただ教えようとする授業を展開していたら、生徒や保護者は学校への信頼をなくしてしまうかもしれません。

……授業改革を行うのは、今しかないのです。


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 SNSってなぁに?

SNSとは、インターネットで人間関係を構築できるのというのがウリのサービスです。
ですから「情報の発信・共有・拡散」といった機能が充実しています。

アメリカに拠点を置いているInstagramやYouTubeは13歳、Twitterは17歳以上に年齢制限があります。
しかし韓国企業の子会社が運営しているLINEに年齢制限はありません。
ですから中学生はInstagram以外使うことができます。

ちなみにLINE>Twitter>Instagramの順に人気があり、LINEは連絡ツールとして中学1年生で4人に3人が、小学6年生でも3人に1人が利用しているそうです。
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SNSで何ができるの?

SNSによって細かな仕様は異なりますが、以下のような基本的な機能は共通して持っています。

1. プロフィール作成

名前(本名もしくは仮名)・年齢・生年月日・性別・居住地域(都道府県)・出身地・学歴・職歴・趣味や所属団体など、自身でアピールしたいことを公開しプロフィールを作成します。
特にFacebookは本名必須でこの機能に力を入れています。

2. 文章を公開する

このブログのような長文日記ではなく、短文でライトな話題を公開する傾向が強く、「○○ナウ」「〇〇食べました」といった報告や感想が多いようです。
特に他人の投稿をコピーするリツイート機能は、拡散すること(情報を広めること)を目的とした機能です。
短文で言わんとすることを誤解を招かずに的確に表現するには相当の文章力が必要です。しかし、それを理解していない中学生がほとんどだと思います。

3. コメントを付ける

他人の文章や写真に対してコメントを付けることができます。
この中でも「いいねボタン」は「○万いいねが付きました」というように、見た人の人数を数えるカウンターの役割しかなく、それを求め、より刺激の強い写真等を投稿することもあるようです。

4. 写真を公開する

3と関連しますが、日常的に写真を撮り気軽にSNSへアップロードできます。
特に写真の投稿に特化したものがInstagramです。「日常的に気軽に」というところに問題が隠れています。

5. グループを作る

共通の趣味や目的を持った人たちとグループを作り、アンケートをとったり共同で作業をしたりできます。このグループを作る機能もトラブルの元になっています。

6. 個人間でのメッセージ

第三者に見られることなく、個人間でのメッセージを送ることができます。
TwitterではDM(ダイレクトメッセージ)と呼ばれ、メールの代用として使われることが多くなっています。
女子中学生の誘拐もこのような機能を利用したものだったそうです。

7. 友人を紹介する

SNSでは友人のことをフォロワーと呼びますが(LINE以外)フォロワーのリストは基本的に第三者にも公開されています。
この機能のおかげで友人の友人と繋がりやすくなっていて、効率的に人脈を広げることが可能です。(良いか悪いかの判断はお任せします。)

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提出ノートで予習をするか復習をするかは、それこそ自分自身が何を目的にするかで違ってきます。
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「授業がよくわからない」という生徒は(授業の受け方を考え直すとともに)家庭学習で予習をしてから授業を受けるという方法が考えられます。
逆に「授業中は理解していたつもりなのに、何日か経つとできなくなっている。」という生徒には、復習をすることで記憶を定着させればいいのです。

ただ、どちらにも言えることは「継続は力なり!」毎日、続けて家庭学習に取り組むことです。一言でいえば「努力すること」です。

家庭学習の注意点

注意点1 宿題から予習・復習の時間へと、学習の幅を広げる

まず各教科から出された課題からとりかからせます。
ワークブックなどは、定期テストや学期末に提出させられることがわかっています。そしてその内容は定期テストと直結しています。ですから授業と共に進めていくのが正解です。単元プリントのやり直しも良いと思います。

ただ形式的に早くすませようとするのではなく、授業で習った内容を思い出したり、教科書やノートを見直して学習のポイントを確認することで、自分が何を身に付けなければならないのかがわかります。
そこから自分で伸ばそうと思うことや克服しようと思うことを見つけていくように指導します。
これをやっている時「ここ、もう忘れている」と思ったら、教科書やノートを見返して復習するように指導します。

 まあ、これができるんだったら、苦労はしないんですけどね。
これを学活等で取り扱い、クラスの中で数人がやり始めれば大成功だと思いますよ。

注意点2 机に向かったら、すぐに勉強を始める

『ドラえもん』ののび太君の姿です。
机に向かっていても、マンガを読んでいたり、うとうとしていたりすると効果は上がりません。

まあ、これを言ってもなかなかできない生徒が多いですね。

時間を決めて計画通りに勉強することを習慣づけるため、どの学校でも定期テストの前に「学習計画表」を書かせていますが、これをきちんと実行させるだけでも効果が大きいと思います。

注意点3 今、長時間費やしていることを勉強時間にあてさせる

ゲームやTV、PCやスマホ・携帯の時間が長ければ、時間のルールを決めたり、一定時間それをやめて、勉強時間にあてるように指導します。

しかしこれが一番難しい指導です。
なぜなら家庭の協力なしには生活パターンを変えることはできないからです。

「何かを得るには何かを我慢しなくてはいけない」ことをしっかり生徒と家庭に伝えます。

何を我慢し何を手に入れるかは個人の自由です。
しかし「あの時ああすりゃよかった」と手遅れにならないよう、有名な塾の先生が「今でしょ」と言いましたが、今がその時であるということを、生徒や保護者に教えてあげなくてはいけません。

ただし、これすらできない家庭が多くなっていることも事実です。

しかし一度はきちんと保護者にお話しし、それができない場合は学年主任や教務主任・教頭先生に相談し、それでもダメなら……家庭や本人の自己責任だと思います。

教育基本法第十条には次のように書かれています。

  •  第十条 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
  •  2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
学校としては第2項を尽くした、と言えるだけのことをしていれば良いのだ、と割り切りましょう。

担任は生徒の指導はしますが、保護者は指導の対象ではありません。
第1項に問題がある場合は、学校あるいは学校外の組織の出番だと思います。


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提出ノートが評価の対象である以上、当然それに応じた指導が必要です。

年度当初ガイダンスを行い、学校によってはパンフレット等を配布してやり方を説明していますが、なかなかその通りにやらず、生徒によっては形式的なものになってしまうこともあるようです。
これが批判の対象になるのですね。

提出ノートをやることによってどんな効果があるか、これを生徒に理解させ、実感させなくては、なかなかきちんとやってこないでしょう。

例えば国語科の白文帳のように内容が指定されていれば話は別ですが、やる内容を生徒の自由に任せた場合は、多くの生徒や家庭にとって「何をやったらいいのか」ということになります。

自主学習はなぜやるのでしょう。

エビングハウスの忘却曲線というものがあります。
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一度習ったことでも一定期間経つと忘れてしまう、ということをグラフに表現したものです。

エビングハウスはこの研究の中で、次のようなことを突き止めました。
  • 何かを学ぶ時、その知識が学習者にとって意味のものであったり重要なものであったりした場合、暗記は楽である。逆にその内容が学習者にとって意味のないものであれば、すぐ忘れる。
  • 学習に時間をかけると、吸収できる情報量も増える
  • 一度目の学習より二度目以降の学習の方が簡単になる。復習を重ねるごとに忘れにくくなる。
  • 一度にたくさん学ぶよりも、時間をかけて何度かに分けて学んだ方が、学習効率は上がる。
  • 学んだ直後から物忘れは始まる。最初は一気に忘れ、次第にゆっくりと忘れるようになる。
その後の研究により、
  • 学習した後24時間以内に10分間の復習をすると、記憶率は100%に戻る。
  • 次回の復習は1週間以内に、たった5分すれば記憶がよみがえる。
ということがわかってきました。
そしてその次の学習は1か月以内に2~4分復習すれば、また記憶は復活すると言われています。

中学校での家庭学習は、予習と復習が大切だと言われます。
予習は「授業を理解しやすくする」のに役立ちますし、前日の予習があれば当日の授業は第1回目の復習と考えることもできます。

「予習はしない」というような指導をしている小学校の担任の先生もいるようですが、中学校ではそれは通用しないことをきちんと教えてあげましょう。

また復習は、「授業で理解したことを自分の学力にする(考察力や知識を確かなものにする)」のに役立ちます。
今まで何度も言いましたが、「わかる」段階を「できる」段階にまで引き上げるのが提出ノートの役割だと思います。

「考える力」とは、複数の知識を結びつけ、一つの知識を創り出す力に他なりません。
新しい知識の創造は「ひらめき」も必要かも知れませんが、もともとの知識がなければとても難しいことだと思います。
もともとの知識があった上で新たな大量の情報を与えられ、それを分析・評価し、新しい知識を創出することが求められている時代なのです。

「生きる力」で求められる力の基盤には知識があり、知識を定着させるためには学校の授業だけでは不可能です。

これはかけ算九九の学習で、学校ではその考え方を学び、家庭を中心として暗誦させるのと同じことです。

今後の学校の授業では、かけ算九九のように情報処理能力や情報生産能力をつけるのに特化されていくのではないでしょうか。

社会の変化と共に限りなく増え続ける知識を身につけ、その上で情報処理・生産能力を身につけることはとても難しいことです。本当にできるのでしょうか。

今から20年ほど前、ゆとり教育に舵を切った頃のことです。
当時の教育課程審議会の会長であった三浦朱門氏は「出来ん者は出来んままで結構。100人中2~3人はいるはずのエリートを伸ばす。それ以外は実直な精神だけ持っていてくれればいい」とゆとり教育導入の目的を語っています。
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それから20年、今回の教育改革によってもたらされるものは「AIを使役するか、AIに使役されるか」の選別であるように感じます。
これまでのセンター入試のように大量の情報を的確に情報処理するだけであればAIに劣りますから、AIを使役することなどできません。
今文科省が目指しているのは、PISA型学力に代表されるような、大量の情報を処理した上で新たな情報を創り出す情報生産能力であると言えます。
この情報生産能力があってはじめてAIを使役することができるのだと思います。

エリートになれない「100人中97~98人」に対しては「みんな違って、みんないい」と言ってきたのだとすると、それはとても哀しいことです。(そしてその文脈で「身の丈」発言が出てきたとすると怒りすら覚えます。)

以上の私の感想は誤りであることを祈っています。

しかし、たとえ「100人中2~3人」にはなれなくても、生徒たちにはできるだけ多くの知識を身につけて欲しいと願っています。

例えば国語科で「漢字が読めない」「言葉の意味がわからなくてもスルーしてしまう」のでは読解力はつきません。
英語科でも単語力(単語・イディオム)がなければ「読む・聞く・話す・書く」は満足にできないはずです。
数学科では、例えばピタゴラスの定理が身についていない生徒は、テストの度にその場で定理を証明しなくては問題を解けません。
理科や社会科だって、小学校で習った直列つなぎと並列つなぎの知識がなければオームの法則やフレミングの法則は理解できないでしょう。

普通の中学校の生徒たちは、みんな某有名進学校のような家庭に育っているわけではありません。
そんな生徒たちが、AIに使役されない、人間らしく生きていくための手助けとして、私は「提出ノート」は必要だと思います。

生徒の将来を見据え、今何が必要かを、生徒や家庭と一緒に考える機会があるとよいですね。


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パターン1 もともと提出する気がない
 
このタイプの生徒は、普段から勉強に関心を持たないことが多く、「提出物なんて、出しても出さなくても関係ない」「テストの点さえ良ければ成績は上がる」などの明らかな思い込みや勘違いから、提出物に真面目に取り組むことができません。
ひょっとしたらご家庭も似たような考えを持っている可能性があります。

このような生徒に必要なことは、「提出物の重要性」をよく理解させてあげることです。

中学の成績は「テストの良し悪し」で決まるのではありません。もちろん、学力の達成度としてテストの点が基準になることは事実ですが、ご存じの通り、通知表(あるいは調査書の評定点)は 「定期テスト+授業態度+提出物」で決まると言っても過言ではありません。
提出物は評定における「関心・意欲・態度」に関わっています。

この定期テスト、授業態度、提出物等を総合したものによって通知表の「1」から「5」までの数字が決まります。
これは各学校で教科の評定評価基準として決められています。(内容はマル秘ですけどね。)

そして「提出物」について言うなら教科内の申し合わせによって「未提出が多い場合は最高評価Aはつかないことがある」ということがあるのではないでしょうか。

これらは、きちんと教科内ですりあわせをしてありますから、教科担任によって差があるということはありません。

評価は「評価」のA、B、Cと「評定」の1~5が連動しています。
ですから、まったく提出できない生徒はテストで最高点をとったとしても評定5をゲットするのは難しいと思います。

ただし特別な事情がある場合は考慮されることもあります。

小学校からのポートフォリオの導入が言われている現在、高校入試・大学入試を視野に入れると、一気に挽回することは不可能となりますから注意してください。

いずれにせよ、まだまだ生徒自身が「提出物の重要性」を認識していない場合、生徒と共にご家庭にもその重要性を認識させ、「提出物=小テスト」だと考えるように伝えしましょう。
テストではよほどのことがない限り、白紙の解答用紙を出す生徒はいないと思いますが、提出物でも全く同じことで、提出物を出さないと、テストの白紙と同じように採点対象とならない(0点と見なされる)ことを伝えるのです。

実際のテストでは答案用紙を埋めようと必死になるのに対し、提出物では毎回白紙を出している……こう考えると提出物を出さないことがどんなに損なのかをわかってもらえると思います。

パターン2 出すことをすっかり忘れてしまう

誰しも経験があることかもしれませんが、パターン1が確信犯であるのとは異なり、「提出物を出すつもりでいるにも関わらず、ついつい忘れて出せない」というタイプです。

毎日提出が義務づけられているものを「忘れた」というのは単なる口実ですが、イレギュラーな提出物を特に忘れてしまう生徒がいます。
これは、本当に提出することを忘れる場合もありますが、提出の準備をすることを忘れ、その結局提出できずに「忘れた」と言う場合も含まれます。
特に、部活などで普段忙しくしている生徒ほど当てはまりやすいようです。

このような生徒に必要なのは「期限」を忘れないように計画的に進めることです。

私の場合、連絡黒板の横に大きな月別のカレンダーを置いて提出期限を書き入れ、連絡黒板には「提出物はいつまで」「提出まであと○日」等、係の生徒に書かせました。
これは各教科いろいろあり担任として全体を把握できないからです。

更に学級通信に、定期テスト以外の「テストの日」や「提出物はいつまで」などを書き、「学校はきちんと家庭に連絡しようとしている」ことをアピールしました。
学級通信を家庭に出さない生徒もいます。そんな時は「このようにご家庭にお知らせしているのですが……」と懇談会等で保護者に見せ、家族のコミュニケーションをとることの大切さとからめて家庭で協力するようお願いしました。

パターン3 期限内に終わらない、期日を守れない

これは提出期限に間に合わない生徒です。
ちゃんと取り組んでいるのにも関わらず、提出物を出せない生徒は、普段の勉強でも要領が悪かったり、計画的に進めるのが苦手だったりするのが特徴です。
中には、「キッチリしたい」という完璧主義がアダとなってしまってなかなか出せない子も考えられますが、めったにいません。

このような生徒に必要なのは、家庭学習の習慣づけを軸に、計画的に少しずつ取り組むことの練習です。
テスト前に一夜漬けでできる生徒も中にはいますが、少なくとも三年の復習テストや総合テストでうまくいくとは思えません。
それにパターン3の生徒はたいてい一夜漬けが苦手なので、普段の学習の中に盛り込んでいく必要があります。

これには、ご家庭の協力が必須です。
しかし協力が期待できない場合は個別指導の対象となります。

どのような内容をどこまで学校で面倒をみるか、どこから家庭で面倒をみるか、
教育基本法に、教育の責任の第一義は家庭にあると明記されていることを念頭に、懇談会等でしっかりと決めることが第一歩だと思います。

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