十種神宝 中学国語の基礎・基本

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タグ:入試改革

 最近、千代田区立麹町中学校が話題になっています。
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 7月1日付けの朝日新聞には「定期テストやめました」という記事が載っていました。

 中間・期末テストを廃止し、「単元テスト(再テストあり)」を必修とし、
 他に年5回の思考力テストを含む「実力テスト」を行う、という内容です。

 また長期休みに出していた「日課の宿題」をやめたそうです。
 ただし、課題がないわけではありません。

 麹町中学校は「番町小→麹町中→日比谷高→東大」と言われた公立名門中学校です。
 現在でも、日比谷や開成、早稲田や慶応の附属へ多くの卒業生を送り出していることで有名です。

 麹町中の「実力テスト」は「全国大学共通テスト」の記述式問題を意識しているのではないでしょうか。

 文科省は「学力の3要素」として
  • 十分な知識・技能
  • それらを基盤にして、答えが一つに定まらない問題に自ら解を見いだしていく思考力・判断力・表現力等
  • 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・共同性
 をあげています。
 「実力テスト」はこの中の「思考力・判断力・表現力」を見るものなのではないでしょうか。

 更に文科省は、
 共通テスト以外に「高校生のための学びの基礎診断」*1)の導入も予定しています。
 
 新聞などでご存じだと思いますが、「十分な知識・技能」を評価するものです。
 麹町中の、成績に反映される「単元テスト」がこれにあたるのだと思います。

 今回の大学入試改革は、これだけにとどまりません。
 各大学が実施する試験(国公立大学では、いわゆる2次試験)においては、ペーパーテストだけではなく、
 高校3年間でどのようなことに取り組み、その経験からどのような資質・能力を身につけたのかを受験生自身が記入して提出する
 活動報告書等の書類の提出(JAPAN e-Portfolio*2))や、面接、プレゼンテーションの実施など、
 多様な方法で多面的に評価する試験へと変わっていくということです。

 この一連の大学入試改革
 すべて、これからの時代を生きるために必要な
 「学力の3要素」をバランスよく測定・評価するという目的のために行われるのです。

 高校3年間でどういう力をつけたかが、全国共通の物差しで可視化されるのです。

 大学入試を変えることにより高校は変わらざるを得ません。
 そして、高校は「より優秀な生徒」が欲しいのですから、それが測定・評価できるような高校入試に変わっていくでしょう。
 高校入試が変われば、中学校の授業は否応なく変わらざるを得ません。

 麹町中の取り組みは、
 これらの変化に対する対応の一つという見方もできると思います。

 高校の指導要領が改訂されるのは2022年度。

 みなさんが高校に進学し大学を受験した時とは全く違う未来が、
 目の前の生徒たちには待っているのです。

  *1) 高校生のための学びの基礎診断
 「高校生が身に付けるべき基礎学力の確実な育成に向けて、高校段階における生徒の基礎学力の定着度を把握及び提示できる仕組みを設けることにより、生徒の学習意欲の喚起、学習の改善を図るとともに、その結果を指導改善等に生かすことにより高校教育の質の確保・向上を図る。」という目的で行われる予定です。当然、大学入試に反映します。

  *2) JAPAN e-Portfolio(ポートフォリオ)
 文科省が開発している、学生が探究活動や課外活動、資格・検定等の実績をインターネット上に蓄積する「学びのデータ」です。
 学生が蓄積した電子データを教師が閲覧して指導に役立てたり、学生自身がWeb出願等に利用できるそうです。これにより高校生活における日頃の活動が評価されるようになり、高校から大学に提出される調査書や、受験生本人が自己アピール書のような形で提出することになります。
 前回説明した「ポートフォリオ評価」を電子化し、入試に使おうというシステムですね。


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 今度の教育改革の最大のターゲットは、大学入試です。
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 教育を変えるには、
 まず大学と大学入試を変えなくてはいけないと、
 昔から言われてきました。

 例えば、経済学には統計が不可欠なのですが、
 経済学部の学生には数学の知識がほとんどありません。(実話です。)
 経済学部は文系で、文系の受験科目に数学はありません。
 だから経済学部の学生は、数学の勉強をしていないのです。

 このような現状を変えるために、
 「大学入学共通テスト」を導入しようとしています。

 センター入試のような五択問題ではなく、
 多くの教科の見方・考え方を働かせながら、
 比較したり、関連付けたり、因果関係でとらえたりして、考えたことを
 自分の言葉で表現する力を
 「大学入学共通テスト」で測定・評価しようとしています。

 例えば2017年に行われた記述式問題のモデル問題例は、
 自転車駐車場の使用契約書を読ませ、Aさんの具体的な事情についてはどう適用されるのかを考えた上で、その考えを記述する力をみる問題でした。

 つまり、契約書という抽象的なルールと、Aさんの個別・具体的な事例を重ねて結論を出し、文章にする力が問われているのです。

 この問題を解くには、情報の扱い方、論理的な思考力が必要です。

 しかし、これと似たような問題は、昔から東大などで実施されていました。
 つまり「大学入学共通テスト」が東大の二次試験に近づいたということです。

 ですから、大学を目指す高校生たちに、
 「大学入学共通テスト」の、骨太な記述問題や総合・融合問題を解くのに必要な力をつけないといけません。

 大学入試が変われば、
 雪崩式に高校の授業も変わらざるとえないのです。


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